『おべんとうの時間』 |
そして、電話の主は言うのです。「そちらの会社にお弁当を持って来られている方はおられますか?」と。
それからその「お弁当の人」に手紙を送り、取材の趣旨説明をすると共に、丁寧にお願いをする。
『おべんとうの時間』は、そんな風にして作られたのだそうです。
むっちゃ面白いですよ。林真理子さんも絶賛です。
ブラボーもかつて毎朝自分でお弁当を詰めていた時期がありましたが、大きなお弁当箱を埋められなくて、どんどん箱の方を小さくして、その上、高校生男子のように、箱のふたで中味を隠すようにして食べていたなあ、と思い出します。
周りの立派な主婦の皆さんのお弁当は、それは毎日素晴らしくて、オンナとしての格の違いを見せつけられているような気持ちがしていました。
だからブラボーだったら、絶対に「お弁当の取材!?いやいや、お断りします!」ですね。
しかし、こんな風に爆弾おにぎり1個のお父さんも、快く取材に応じられています。
飾らない本当の姿です。
文章もそれぞれ、その人達の話し言葉で書かれているので、人柄がにじみ出ていて素敵なんです。
取材の日に持っていたお弁当の話しから、大抵、子供の頃作ってもらったお弁当の話しになります。
今のお母さん達は、キャラ弁を作ったり、そうでなくても毎日のお弁当を気軽に写真に撮って記録していたりしますよね。
でも、そんな時代でなくても、みんな、それぞれの記憶の中に、子供時代のお弁当の映像を持っていて、思い出として残っているんだな、と感じます。
ご家族のお弁当を作る事は、とても大変な事だと思いますが、その人がその人である事の大きな柱の部分を作る大切な作業なんだと感じました。
よその国の事はあまり知りませんが、例えばフランスで「おべんとう」と言うと、カスクルートと呼ばれるバゲットサンドイッチくらいしか浮かびません。
四角い限られたスペースの中に、あれほど多国籍の食べ物が、しかも彩りよく詰められるお弁当は、日本ならではの素晴らしい文化だと思えます。
『おべんとうの時間』は、先日の『ソトコト』同様、木楽舎さんの本で、『ソトコト』からの関係で、451BOOKSにもやって来たようです。
本当に楽しいです。自分でもちょっとお弁当を作ってみたくなります。
そして、「私が作って貰っていたお弁当はね」なんて、誰かと喋りたくなりますよ。