パリ 蚤の市のボタン |
パリを訪れての、楽しみの一つが、蚤の市です。
ヴァンヴの蚤の市には、いつもお店を出している、日本通のエリックさんのブースがあります。
この方は、本当にボタンを愛しているのですが、やはりそこは、男性目線ですので、彼のボタンへのこだわりは「ボタンのディテール」。
時代や素材に詳しく、説明をして下さるのですが、女ブラボーにはそんな事はどうだって良い。それが可愛いかどうか、問題はそこだけなのです。
最初の写真の真ん中のボタンシート。ブラボーの宝物箱入りとなったものです。
このボタンは、ボタンのみを取り出すと、非常に軟弱というか、何に使えるのかと考えたら、ポリエステルのブラウスくらいしか浮かばないくらいの儚さです。
しかし、1個売りのコーナーにあったので、まぁ少しなら良いかと、開けた、その箱の中にありました。
箱を開けた瞬間「うわっ!可愛い!」と叫んで、これごと下さい!と思わず言ってしまうくらいの感動でした。
粗いピンクの台紙に並んだ姿ももちろんですが、台紙に使われている紺色の文字。
それと同じ色の糸で、ボタンを留め付けている所にもノックアウトです。
しかし、この男店主には、そこの所が理解できないらしく、写真右のブルーのボタンの方は、何と、その1個売り用の箱に入るように、シートが切られているんですよ。あり得な〜い!
一方こちらは、女性店主で、主に手芸用品を集めているお店のボタン。
こちらは、さすがにボタンシートまで含めた姿の可愛さを追求しており、シートの状態ももの凄く良い。
小さな小さなブースですが、「フィガロジャポンの特集に出て来そう」な、パリ好き乙女胸キュンアイテムに溢れています。
もうここは、蚤の市ではなく、コンセプトショップなのです。
ですから当然、お値段も高い。そのままで、こちらの雑貨屋並。その上、いくら買っても彼女はマケない。さすが、女性店主です。
しかし、だからというべきか、彼女のお店で「いかにも」なものを買うよりも、エリックさんのブースで、「価値が低い」とされているモノの中から「自分の大好き」を探し出す方が、何と言うか、達成感があるのです。
ほら。
ドリー○で布を探すよりも、ウエ○ギで見つけた布で何かを作って、可愛いと言われ、「「え?これ?ウエ○ギよ。」という時の快感って言うんですか。
え?益々わかりにくい?
しかし、そんなエリックさんのお店でも、相場が随分と高くなったという気がしました。
これなんて、えーっとえーっと。
素材はカゼインとか言って、ミルクに含まれるタンパク質が含まれた、柔らかな質感が特徴のものだそうで、そりゃあ、その上、手描きの模様付きですから、高くても当然なんですけど。
ユーロ170円時代にパリの現行手芸屋で買ってしまったボタン、くらいのお値段になってしまいました。
ガラスボタン。
これも、良い状態のシート、という意味合いも含めて、本当に数が少なくなりました。
かつて、浮世絵が流出してしまい、海外の方が沢山作品がある、という事になったのと同じくらい、いまや、日本の方が、こういうガラスボタンの在庫、沢山持っているのではないでしょうか。
というくらい、多分、日本人が買うもんだから、パリの蚤の市の商品価格、全体に高騰しています。
そんな風に日本人が買いあさる中で「いつまでも、古いボタンがあるなんておかしい」と、斜めからモノを見る、姉くるくる。
そういわれて、そんな風に思って見ると、価格の低いボタンシートは、台紙もピカピカで、確かに怪しい。
いや。
これは、恐らく、昭和レトロくらいの時代のモノなんだと思います。
それでも十分古くって、懐かしい色と形。
しかし、台紙には遊びが無く、味気ないです。
先ほどのカゼインなんて、1900年頃作られていた、というのですから、明治です。
手を出しやすいお値段のモノは、気軽に楽しんで。
高価で、これから後は減って行くのみの、もっと古いボタンは、1個ずつ大切に、服や袋物のポイントに使ったり、アクセサリーにしつらえて、残して行きたいものですね。
取り敢えず、クリスマスが大きく終わりに近づきました。
明日もまた、全てのお子さん達が笑顔で過ごせる一日でありますように。