モンマルトルの生地屋街 |
現行品とは、今現在、普通に売られているという意味です。
しかし、どこかノスタルジックな気持ちになるのは、「アップリケ」という存在自体が「昭和」なアイテムなのかも知れませんね。
パリ観光名所の一つとして有名なモンマルトルのサクレクール寺院。
この周辺は、印象派の画家たちが住んでいた事でも有名で、似顔絵描きの集まるテルトル広場では、ついうっかり似顔絵を描かれてしまったら、法外なお値段を請求される事も多いらしいですね。
寺院の前は、パリ市内が一望出来るスポットで、映画『アメリ』で、ニノが望遠鏡で下の広場に居るアメリを覗いた場所でもあります。
ここに必ずやってくるのは、アメリが好きだからではなく(好きですけど)、この一帯は「生地屋街」と呼ばれていて、布や手芸関係のお店が軒を連ねているからです。
以前はくまなく見て歩いていたのですが、今回のお目当ては一軒だけ。
レースやブレードなどのデッドストック品がぎっしり詰まったお店です。
ブラボーがそのお店の事を『装苑』で知ってからも、もう既に25年くらい経っていると思うのですが、そのお店が、今回行ったら、無くなっていたんです。
お店の前には貼り紙一枚。「終わりました。アデュー」それだけ。
451カフェも同じような終わり方をしたので、文句は言えませんが、この店が無くなった事も、ブラボーが「パリは卒業」と思う、理由の一つであります。
ガックリと肩を落として、途方に暮れた脳内状態で、辛うじて選んだアップリケです。
今見てもとても可愛いので、もっと買っておけば良かったなと思うのですが、これだけです。
簡単に縫った、ペタンコの手提げ袋とか、無地のパーカーの胸元なんかに付けるだけで、ちょっとレトロ可愛い感じになると思うんですよね。
一応、アイロン接着出来るようになっています。
しかし、一般的なアイロンアップリケもそうですが、特にフランスものですから、その辺の性能はあまり信用せず、アイロンで仮留めの上、周りをまつられることをオススメ致します。
さて。
落胆からは抜け出せないものの、一応、「レトロな匂い」のするお店に入ってみます。
美しいレースには、結局出会えませんでしたが、可愛いボタンには出会えました。
ブラボーが子供の頃には、オトナが着ていたブラウスやコートなんかには、とても凝ったボタンが使われていたし、ニットのカーデガンなんかにも、それに合わせたキャンディーみたいなボタンがついていましたね。
最近の洋服についているボタンは、ホントシンプル。
その方が取れて無くした時も便利だし、シンプルなモノは好きだけど、こういうボタンを見ると、味気なくなったなぁ、という気がしますね。
このボタンを買ったお店は、こんな風です。
笑顔が白川由美似の可愛いマダムが、色々見せて下さいました。
ブラボーにとっては、昭和を再現した懐かし系のテーマパークみたいな空間でしたが、パリでファッションを学んでいるような若い人が、次々に普通に訪れる現在も生きて居るお店です。
このマダムがお元気でなくなったら、ここもある日「アデュー」って貼り紙されるのかなあ。
Fabriqueでは、ボタンを1個ずつ、シートに縫い付けて並べているため、なかなか手が出せていませんでしたが、ボツボツとお店に並んでいます。
アクセサリーや、布小物のアクセントに、お気に入りの1個を付けて下さいね。