『クリスマスのまえの晩』 |
「ターシャの庭を再現」と言い切られたスペースに、微妙な感想を持ちながらも「ガーデニング」以外のターシャの世界、例えば絵本をたくさん描いておられること、を初めて知り、感動したという方も多かったようです。
そんなターシャが、80歳にして書き下ろした絵本『クリスマスのまえのばん』が届いています。
と・・・?
451ブックスから届いた、クリスマス関係の本をお店に並べる作業をしていると、あれ、これも。
ここにも、こっちにも。
『The Night Before Christmas』。「クリスマスのまえのばん」だらけです。
『クリスマスのまえのばん』とは、今から186年も前の12月23日。ニューヨークの新聞に掲載された、クリスマスの詩なんだそうです。
クレメントムーアという神学者が、自分の子供のために書いた詩を、その出来映えに感心した彼の友人がこっそりと新聞に投稿しました。
掲載された詩は多くの読者を魅了し、色々な雑誌に取り上げられ、遂には、国語の教科書にまで載ることとなったそうです。
「クリスマスの前のばん みんな静かに眠ってる。 色とりどりの靴下が 暖炉のそばにかかってる。 だって今夜はお待ちかね サンタクロースがやって来る。」
今では私たちが、当たり前に思い浮かべるイブの夜の光景ですが、欧州のものであったサンタクロース伝説を、アメリカに定着させたのは、他ならぬ、この詩だったんですって。
そんなわけで、色んな作家がこの詩にインスピレーションを得て描かれた本が、たくさん出ているというわけです。
例えばこの絵本、絵の一部が切り取られて、次のページが見えるようになっています。
窓の外に見えている、トナカイのソリが空を駆けるお馴染みの光景。
ページをめくり、外から見ると、先ほどのお父さんが、窓から外を見ているのが見えます。
影絵のようでもあり、とても美しい。
ブラボー一番のお気に入りです。
また、別の本では、物音に気付いて起きて来るお父さんの姿。
妖怪人間かと思いました。とても怖い。
この絵本では、サンタクロースは黒の毛皮の衣装を来ています。
というのも、「サンタが赤い衣装」というのは、後にコーラのCMによって根付いたイメージなんだそうで、この詩が書かれた当時は、衣装は赤ではなかったという事が、表現されているのだそうです。
ところで、ターシャの『クリスマスのまえのばん』は、その詩を元に、ターシャが自分の生まれ育ったバーモンド州のうちの風景に置き換えて、描かれたものです。
なので、サンタクロースを迎え入れるのは、犬やネコやネズミ達。
ターシャならではの、優しいタッチで描かれています。
こんなに色々あると、自分のお気に入りの『クリスマスのまえのばん』を探してみたくなりますね。
また、1年に1冊ずつ、色んな『クリスマスのまえのばん』を増やして行く、というのも素敵だなあと思います。
クリスマスの前の晩、本当にサンタクロースが来るのかも、という気持ちになる本達です。
しかし物騒な時代です。くれぐれも、戸締まりはお忘れなく。