ラトビア民芸市 7時間の過ごし方 |
ブラボーは後者。
インスピレーションが全て、と言っても良いかも知れません。
迷うのは「何か買わなきゃいけないんだけどぉ、欲しいモノが何も無いなぁ〜」という時や、「コレを選んだら、あの人はなんて言うかなあああぁぁ」という様な、自分以外の価値観で判断をしなければならない場合。
この度の民芸市には、「店を休んで出掛けたパリ」のような宿題は何もありません。
誰にも「仕入れしてくる」宣言などしていないのですから、買わなくても良い。
旅行に出掛けた事さえ、一生黙っていたって良いのですから。
森の中は本当に広くて、その中に、同じような、しかし少しずつ違う民芸品を並べたテントが、ひしめき合っています。
しかしブラボーは、早い。
ピンと来たモノに関しては、迷わない。
サクサクと歩き回り、そしてもう、飽きてしまった。
食べ物屋さんばかりが集まっているエリアも見学して、足ももう、疲れてしまった。
別行動をしていたAOKさんとの待ち合わせ時間は、11時半。
ああもう、お腹空いたな〜。
今なら、まだ席は空いてるのになあ〜。
なんて事を考えながら、歩き回る。
こちらは実際にお昼に選んだもの。
お肉もごついし、何もかも大盛りなので、この量を2人で半分こです。
お昼を頂いたまま、そこに座って時間を過ごしても良いのですが、何しろ、人が溢れています。
4人掛け席に2人で座っていたのですが、そこに推定平均年齢76歳、推定平均体重82キロの男性2人組が座られました。
この2人組には、似たような容姿の奥様方がおられ、席に座った夫達の横に立ち、買って来た飲食物を手に、ブラボー達にプレッシャーを掛けてきます。
何しろブラボーは、カフェを含めたサービス業歴23年ですから、こういう状況は耐え難い。
知らん顔をすることなんて、出来ないのです。
そんなワケで、早々に席を立ち、「次はお茶の時間に」と約束を取り決め、AOKさんと別れました。
しかしブラボー。
もう買い物も満足してしまったし、歩きたくも無いのです。
そして、ふと目に留まった、子どものためのワークショップ。
白い素焼きの陶器に、アクリル絵の具で着色して行きます。
素焼きのモチーフは、クマちゃんと天使の2種類。
多くのチビッコ達が、クマちゃんを選んで、そして、お構いなしに真っ赤っかに塗りつぶして行ってます。
おうおう、アバンギャルド。
そんな中、そこに居る誰よりも年上の東洋人(ブラボー)は、下手な事はできないな、と緊張しながら、ワークショップに参加します。
3ユーロ。
とにかく、座って、しばらくの間、時間を潰す事ができるでしょう。
こういう作業は苦手なのですが、子ども達から欲しい絵の具を奪いながら、どうにか仕上げて行きました。
できました。
と言うと、係のお姉さんは「まぁ可愛い」と言って、ラメの入ったヒモを選んで丁寧にヒモを掛け、キラキラ模様のついたギフトバッグに入れて下さったのです。
真っ赤や真っ青や虹色のクマちゃんとは、明らかに違う扱いです。
その後も、森の中をグルグルグルグルと歩き回りましたが、どうにも時間が過ぎて行きません。
辿り着いた、催し物会場。
ここでは、各地方の民族衣装に身を包んだ人々が、各地方のフォークダンスを披露してくれるのです。
とても華やかな衣装と踊り。
この地方は、きっとロシアに近くて、豊かなんでしょう。
生成りのブラウスに麻色のズボンやスカート、それにエプロンと言った「それでは冬は寒かろう」という衣装の所もあります。
苦痛を感じるような、微妙な歌と演奏もありましたが、とにかく座って時間を潰したい。
「明日はもう、ここに来るのは、ヤメにしませんか?」
勇気を持って、AOKさんにそう言おう。
そう決心して、待ち合わせ時間に待ち合わせ場所に。
幸い、AOKさんも同じ事を考えており、心穏やかに、残りの時間、見残したお店を堪能しました。
そして、5時。タクシーとの約束の場所へと向かったのでした。