カエルのじょうろ |
お姫さまは、いつも考えていました。
私のじょうろとしての機能は、水を入れる箇所は小さいし、水が出る場所は、唇のわずか直径5ミリの穴だけで、とても使い勝手が良いとは言えないわ。
でも私を実用として使おうってのが、そもそもの間違いなのよ。
だって私は、こんなに美しいんですもの。
可愛らしい小さな子どもの手で握られて、お庭の水やりのお手伝いをしているふりをして、水遊びをしている時に、お水が沢山出過ぎないのは良い事なのよ。
実はとっても計算され尽くしているのよ。
そんなある時、美しい私と結婚したい、という王子様が現れたの。
ほら。
色もソックリだし、きっと私達はお似合いよ。
と、思っていたら、「ちょっと待った!」の声が聞こえたの。
見ると、そこにはアカガエルの王子様が!
う〜ん、こっちも悪くないわね。
どうしようかしら。決められないわ。
決闘して、決闘して!
そうしたらどう。
こっちの2匹に、友情だか、愛情だかが芽生えたみたいで。
ガーン
で、でも良いの。
私達をペアで買ってくれる人なんて、居やしないんだから。
どうせバラバラ、一人旅。
誰か、私の事も、連れて帰ってね。チュ〜。